「石棺~チェルノブイリの黙示録」感想

フェニックスプロジェクト
「東北の心に灯りをともそう!シアターライブ vol.3」
8月18日(木) 19 :00開演/19日 (金) 15:00 19 :00開演 /20日 (土) 14 :00開演
笹塚ファクトリー
<日本演出者協会有志プログラム>
Aプログラム
朗読劇『石棺 チェルノブイリの黙示録』

【スタッフ】
作:ウラディミール・グバリェフ
訳・演出:青井陽治(マイケル・グレニーの英語訳に拠る)
舞台監督:小島慎一郎( ニケステージワークス )
照明:成瀬一裕(あかり組)
音響:オフィス新音
台本作成協力:田中義克(長崎座)
制作:土屋誠(カンパニー・ワン)

【出演】
(放射線安全研究所の医師たち)

水谷八重子:プティーツィナ教授
久野綾希子:アナ・ペトローヴナ
本多都:ヴェーラ(インターン)
瀧本真己:ナジェージダ(インターン)
尾川詩帆:リューボフィ(インターン)
新井康弘 :セルゲイェフ研究所長

(訪問者)

岡幸二郎:査問官(ウクライナ共和国検察庁の役人)
清水友陽:カイル教授(アメリカ人の医師)

(チェルノブイリの被爆患者)

松田洋治:1号室・自転車乗り
村岡ミヨ:2号室・農婦クラーワ
碓井将大 (D-BOYS) :3号室・消防士
黒田耕平 :4号室
田口守:5号室・原発所長
伊藤栄之進:6号室・伊藤栄之進
林田和久:7号室・制御士(制御室のオペレーター)
鈴木章生:8号室・将軍(原子力発電所の保安・消防隊長)
初風 諄:9号室・物理学者
北川能功:10号室・ベスメルトヌイ(不死身の男の意味)

コロス(ト書き・ラジオの声など)
小山貴司
永野和宏
田中 覚

【感想】
朗読劇というので、ほとんど出演者は座りっぱなしなのかなと思っていたが、会場に入ると、
ほぼ「ト書き」通りに舞台が作ってある。
舞台袖はない。
出演者は客席中央の通路を使って出入りする。
朗読なので、手には台本を持っている。
衣裳は、私物なのだろうか?
でも、役柄に合うような衣裳だった。

この作品は、チェルノブイリ原発の事故の時に取材した科学ジャーナリストが書いた戯曲である。
25年前の作品だ。
だが、今、震災後の、フクシマ後の私たちが考えなければならないことがぎっしり詰まっている。

登場人物が発するセリフが、一つ一つテレビで聞いたあの言葉、新聞で読んだあの言葉と重なり、チェルノブイリの話でありながら、「今」がひしひしと感じられる作品だった。


ベスメルトヌイという男が事故前から、放射線を大量に浴びた患者として治療を受け488日生き延びている。
だが、彼は無菌室から外に出ることはできない。

無為に生きるしかないのだ。

そこへ、事故直後にたくさんの患者が運ばれてきた。

事故後、なすすべもなく線量計の針が振り切れるのを見ていた者。
自分の身を守るより自分の義務を果たそうとした者。
素早く逃げ去った者。
責任を明らかにしない者。
まったくわけがわからず、残してきた牛を心配する者。

「その時」どうしていたのか、語る。
あるいは医者と話、あるいは患者同士で語る、査問官の質問に答える、、、。
様々な形で語られていく。

彼らは医者の努力もむなしく、命を失ってゆく。


ベスメルトヌイは骨髄移植を受けた結果、どのような型の骨髄にも対応できるようになっていた。
そして、物語終盤、彼は叫ぶ。

「あいつの命を救え、死なせてはならない。
あいつを生かして、責任を追及してくれ、それこそが自分が生きてきた意味である。」と。





「あいつ」とは、
決して体制に異を唱えないもの。
自己保身に汲々としてるもの。
長いものに巻かれてしまうもの。
責任をあいまいにしてしまうもの。
何事も見て見ぬふりをしてしまうもの。


そういう「もの」。



5号室の患者が「そういうもの」を象徴している。
原発所長を生きながらえさせるということは、そういう元凶を決して忘れてはならないという人間への警鐘なのだと思った。

人間は忘れっぽいから。
忘れてはならないから、もっとも「悪い」ものについて記憶しておかなければならない。


25年前のこと、忘れてはならない。そして2011年のこと、決して忘れてはならない。
考えなければならない。

そういう気持ちを強く抱いて劇場を後にしました。

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ちょっと砕けた話
・終わったら役者さんがみな出口に並んでお見送りしてくださった。
・恥ずかしくて顔をあげられなかった。
・水谷八重子とか1.5メートルのとこにいた。
・終演後、青井陽治が挨拶に立って、これからのスケジュールと、東北の劇団の公演案内を紹介。
・岡さんは査問官だったからスーツ姿でした。
・通路の途中で朗読することも。
・演技するのはほとんどないけど、立ち位置を変えてみたり、座る場所を変えたりして物語を進めていた。
・ベスメルトヌイ役の人は最初とても頭が弱い人なのかって感じの舌足らずなしゃべり方で、最後にものすごく力強く叫ぶので、それまでずーっとためてたんだなと思った。
で、それがやっぱり効果的だった。


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