「奇ッ怪 其ノ弐」感想

現代能楽集Ⅵ
奇ッ怪 其ノ弐
2011・8・19~9・1
世田谷パブリックシアター
上演時間:1時間40分(休憩なし)

【スタッフ】
企画・監修:野村萬斎
作・演出:前川知大
美術:堀尾幸男
照明:原田保
音楽:寺田英一
音響:青木タクヘイ
衣裳:伊藤早苗
振付:平原慎太郎
ヘアメイク:宮内宏明
演出助手:谷澤拓巳

【キャスト】
山田:中村トオル
橋本:池田成志
曽我:小松和重
矢口:山内圭哉
火群:内田慈
森永:浜田信也
清水:岩本幸子
黒鉄:金子岳憲

【感想】

舞台奥までたぶん壁突き抜けて奥までs語句奥行きを作ってある。
八百屋舞台で板敷き。
前面に二段の幅の広い階段。舞台の上に普通の家の板の間みたいにさらに高い部分が作ってある。
そこは神社の建物の一部。
そこには大きな四角い穴が二つ切ってある。
また奥の板の部分にもいくつか四角い穴が切ってある。

開演前に二回ほど仮面をつけた人がゆっくりと舞台奥を横切って行った。

矢口(山内)が久々に故郷に帰ってきた。
ここは、実家の神社のあと。
この村は数年前に硫化水素ガスによってほとんどの人が亡くなった。廃墟である。
誰もいないと思ったのに、山田(仲村)がひょいと穴の一つから顔を出す。
そこへ、調査会社の橋本と曽我がやってくる。
幽霊のような存在がひっきりなしに表れる。そして消えていく。
4人はあれはなんだろうという会話を始める。

仮面をつけていた人は、仮面をとると、それぞれのエピソードの登場人物として芝居をしていく。
また、仮面をつけていない人も、そのエピソードの登場人物になる。

(エピソード1)自動車事故でなくなった息子の死を受け入れられない母親

(エピソード2)暴行を受けている男を助けられなくて、生霊に悩まされる男

(エピソード3)妻をうつ病で亡くし、その経験をもとに医師を名乗り、それがばれて自殺しようとしていた男

暗転

(エピソード4)神社で村の将来を語り合いつつ、祭の準備をしていたが全員硫化水素によって死んでしまった。

暗転

村の神社に一人たたずむ、神主の息子。

3つのエピソードが別々に語られていくけど、最後の3つ目のエピソードは、調査会社の橋本自身のエピソードであった。そして、橋本達も、死者であったことが分かる。そこで暗転。
4つ目のエピソードへ。
そこには、数年前ガスの事故の直前の風景が展開される。
矢口以外の人間はそのエピソードの中に入っているが、矢口だけはその場にいないので、逆に一人幽霊のような位置でこの物語を見ているような格好になる。
矢口の父親(神主)、小学校教師、畜産業の人、久々に帰ってきた村の若者と婚約者、そしてその親戚のおばちゃん。インターネットの得意な若者。
婚約者のおなかには赤ちゃんがいる。
将来に向かって夢を語るのに、それが突然断ち切られる。

殺風景だった舞台の上。
お祭りの準備をしているうちにしめ縄がはられ、祭壇が作られ、スーパーのビール袋が散らばって、非常に生活感が出てくる。

そして、
暗転後にライトがつくと、生きている矢口だけがこの神社の中にいる。
取り外されていないしめ縄、祭壇、ビニール袋。

あの、幽霊たちは幽霊だった。
調査会社の人も幽霊だった。
神社に住み着いていた「山田」は幽霊だったのか、それとも、この土地の「神」だったのか。

土地も死ぬのだろうか。
もしそうなら「山田」は幽霊と分類してもいいかもしれない。
そうして待っていたのかもしれない。
自分を祀ってくれるものが来ることを。
矢口は東京に出ていて、この事故のときにはいなかった。
もちろん、家族の葬式は出したけど、そうじゃない「祭り」を地霊が求めたとするなら、エピソード1~3が語られた意味も何となくわかるような気がする。

1は死を受け入れるということ。
2は思いは通じるということ。
3は死んだことに気がつかない魂があるということ。

3のは無理やりこじつけみたいなんですが、、、、。
橋本・曽我の調査会社の人は、実は死んでるけど、自分の死に気が付いていない。で、幕あきのところを繰り返すんですよ。それも2回も。

これから同じこと繰り返すのか?と思ったところ、
山田が、最初とは違った会話をして、祭の準備に持っていくのです。

そういうわけで、「山田」は全部わかってるのかなと思ったのです。

祀ってくれる人がいなかったら、土地神様も滅びてしまうということなのでしょうか。

パンフレットをざっと読むと、「鎮魂」と「円環」という言葉が、印象に残りました。

謎ときのおもしろさがありました。
また、エピソードのうち一個でも自分の腑に落ちればいいのかなとも思いました。

穴がうまく使われていました。
物の出し入れとか、人間の出入りとか。
あと、振付ってなんだろうと思ったのですが、幽霊たちが不思議な動きをするのです。
幽霊たちは生前の動きを何にもないところで繰り返してやってたんだということが最後にわかります。
矢口が最後に床を拭いたり、足の裏を払ったりする動作をなぞることでそれがはっきりします。

生きることと死ぬこと、考えさせられた舞台でした。

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